- 腰・首に起こる「椎間板ヘルニア」とは
- 椎間板ヘルニアの原因となりやすい人の特徴
- 椎間板ヘルニアの症状チェック
- 椎間板ヘルニアの検査方法
- 椎間板ヘルニアは手術が必要?
5つの治療方法 - 椎間板ヘルニアは自然に治る?
腰・首に起こる
「椎間板ヘルニア」とは
椎間板ヘルニアとは、背骨の椎骨と椎骨の間にある「椎間板」というクッションのような組織が加齢や負荷によって変性し、内側のゼリー状の組織(髄核)が外に飛び出して神経を圧迫する病気です。
神経が圧迫されることで、腰や首、手足に痛みやしびれ、感覚異常が起こります。症状の現れ方は、ヘルニアが発生した部位や圧迫される神経の種類によって異なります。
椎間板ヘルニアの種類
発症したせぼね(脊椎)の位置によって、頚椎椎間板ヘルニア、胸椎椎間板ヘルニア、腰椎椎間板ヘルニアの3つに分けられます。腰椎・頚椎での頻度が高く、胸椎で起こるのは少数です。
| 種類 | 特徴 |
| 頚椎椎間板ヘルニア | 首の椎間板で発生。肩や腕、手指の痛み・しびれが出やすい。 |
|---|---|
| 胸椎椎間板ヘルニア | 胸の椎間板で発生。比較的まれで、胸や背中に痛みが出る場合がある。 |
| 腰椎椎間板ヘルニア | 腰の椎間板で発生。腰・お尻・脚に痛みやしびれが現れることが多い。 |
椎間板ヘルニアの原因と
なりやすい人の特徴
椎間板ヘルニアの原因としては、加齢、仕事・スポーツ・不良姿勢によるせぼね(脊椎)への負荷、遺伝的要因などが挙げられます。また、ストレス、喫煙が発症リスクを高めると言われています。
腰椎椎間板ヘルニアに
なりやすい人
- 20歳以上の人
- 姿勢が良くない人
- 激しい運動をしている・していた人
- 腰に負担のかかる仕事をしている人
- 腰椎椎間板ヘルニアの家族歴がある人
- ストレスを溜めている人
- 喫煙をしている人
頚椎椎間板ヘルニアに
なりやすい人
- 30歳以上の人
- 姿勢が良くない人
- 激しいコンタクトスポーツをしている・していた人
- 頚椎椎間板ヘルニアの家族歴がある人
- ストレスを溜めている人
- 喫煙をしている人
- 転倒・転落などの外傷後の人
椎間板ヘルニアの症状チェック
椎間板ヘルニアは、腰椎・頚椎のどちらで発症したかによって、症状が異なります。
腰椎椎間板ヘルニアの
症状チェック
- 腰やお尻、脚の痛み、しびれ(坐骨神経痛)
- 下肢に力が入りにくい
- ぎっくり腰になりやすい
- 歩行、立ち座りの困難(重症例)
頚椎椎間板ヘルニアの
症状チェック
- 首や肩、腕の痛み、しびれ、感覚異常
- 歩きづらさ、バランス感覚の低下
- 下肢のしびれ、筋力低下、排尿・排便障害(重症例)
椎間板ヘルニアの検査方法
まず、症状、既往歴・家族歴、服用中の薬などについて確認します。痛みやしびれの出る範囲、筋力低下の有無、感覚異常の有無などをお伺いし、そのうえでレントゲン検査・MRI検査を実施します。画像検査では、せぼね(脊椎)や椎間板の構造、神経圧迫の有無を詳細な確認が可能です。MRI検査は連携する葛城病院で撮影いただきます。
椎間板ヘルニアは手術が必要?5つの治療方法
薬物治療

痛みやしびれを緩和するための消炎鎮痛剤、筋弛緩剤などを使用します。症状が強い場合には、症状に応じた服用量や使用期間を調整します。
リハビリテーション

せぼね(脊椎)や椎間板への負荷を軽減するために、運動療法や物理療法を行います。筋力をつけることで腰や首の安定性を高め、再発予防や症状改善を目指します。姿勢指導やストレッチも併せて行うことが多く、日常生活での動作改善にもつながります。
ブロック注射
局所麻酔薬、ステロイドなどを神経や神経の近くに注射し、痛みの連鎖を断ち切ります。
神経根ブロック
脊髄神経に針を刺し、麻酔液・抗炎症薬を注入するブロック注射です。高い疼痛緩和の効果が期待できます。坐骨神経痛などに特に有効です。
硬膜外ブロック
せぼね(脊椎)へと針を刺し、硬膜の外側に注射します。首~足の慢性的な痛みに対して有効です。
椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)
椎間板に酵素を含むヘルニコアという薬剤を注入する治療です。椎間板の組成を変化させることで、ヘルニアを小さくし、神経の圧迫を軽減します。切開を伴わない治療で、痛みの緩和が期待できます。
手術療法
保存療法で十分な効果が得られない場合や、神経症状が強く日常生活に支障がある場合には手術を検討します。当院では、MED(内視鏡下椎間板摘出術)、FESS(全脊椎内視鏡手術)など、体に負担の少ない手術にも対応しております。
MED(内視鏡下椎間板摘出術)
MED(Micro Endoscopic Discectomy)は、内視鏡下で腰椎のヘルニアを摘出する手術です。ほとんどの症例に対応できる、スタンダードな術式です。手術時の皮膚の切開は約2cmと小さく、背中の筋肉への負担も最小限に抑えられます。そのため、術後の痛みや感染のリスクが低く、回復が早いのが大きな特徴です。平均4〜5日で退院できます。
FESS(全脊椎内視鏡手術)
FESS(Full-Endoscopic Spine Surgery)は、MEDよりもさらに低侵襲なアプローチで、内視鏡を用いて腰椎のヘルニアを摘出する手術です。皮膚の切開はわずか8〜10mmと非常に小さく、筋肉や周囲の組織へのダメージを最小限に抑えられますが、適応となるヘルニアがやや限定されます。平均1〜3日で退院できます。
椎間板ヘルニアは自然に治る?

椎間板ヘルニアは、すべてのケースで必ず手術が必要というわけではありません。自然に改善されるケースもあり、薬物治療やリハビリなどの保存療法で症状が改善することも多くあります。
しかし、下肢の筋力低下がある場合、膀胱直腸障害(排尿・排便障害)がある場合は早期に手術が必要です。また、保存的な治療を続けても改善がみられない場合や、日常生活に支障が出る場合にも、手術が検討されます。
自己判断で「自然に治るだろう」と放置せず、気になる症状がございましたら、早めに整形外科を受診することが大切です。





